この夏に当院で咲いた蓮(ハス)をご紹介します。
当院の蓮は小型の「茶碗蓮」といわれる品種ばかりなので、池が無くてもバケツで育てられます。
今回は桃源晄・バレリーナ・小舞妃の3品種を掲載します。
このように白い花弁の先端に紅色が入ったものを「爪紅(つまべに)」といいます。
こちらは紅色の蓮なので「紅蓮(ぐれん)」です。
アニメやゲームに登場する<紅蓮の炎>は仏教の7番目の地獄<紅蓮地獄>に由来しているのであまり良い意味合いではありませんね。
昔から地獄に落ちた人の血の色に例えられてきたようです。
こちらは桃源晄と同様、爪紅蓮ですね。
さて蓮は泥の中から生まれ出る水生植物で、美しい花を咲かせることから、古来からアジア圏で愛されてきました。
花数や開花期間こそバラやクレマチスといった西洋のガーデニングプランツには及びませんが、
蓮は極楽浄土の花として、私たち日本人にとって特別な存在だと思います。
「蓮は泥より出でて泥に染まらず」
つまり<周りが汚れた環境であっても、それに染まらずに清らかさを保っている>という言葉があります。
この言葉を最初に残したのは1000年前の中国・北宋の儒学者・周敦頤(しゅうとんい)で、
原文では「予独愛蓮之出淤泥而不染」と蓮の性質を褒めたたえています。
この周敦頤は、わが国でも江戸時代に徳川政権が奨励した学問「朱子学」の源流ともいえる人物ですので、
このような「周りに流されない生き方をすべき」という教えは、知らず知らずのうちに私たち日本人に染み付いているようにも思います。