庭に出るのが楽しみな春とは打って変わって、
ジメジメした梅雨以降、ガーデンは病害虫と雑草との戦いの場に変わります(涙)
特に雑草の成長は著しく、暑さに強いC4型光合成を行ってグングンと生長します。
(私たちの育てる園芸植物の殆どはC4型光合成ができないC3植物ですので、助けてあげないと負けてしまいます)
そんな中、当院の夏花壇を彩ってくれるエキナセア(馬簾菊)が開花しました。
うちで雑草に唯一対抗できる夏の主役です。
花の中心が球状に大きく盛り上がり、そのまわりに細長い花弁が放射状に広がる姿が印象的です。
現在、医学的には根拠に乏しいと否定されていますが、古くから「免疫力を高める」と信じられてきた薬草でもあります。
実は私も幼少期は体が弱かったのでエキナセアのサプリメントを飲んでいました。
そんなこともあり、私にとって馴染みのある花です。
このエキナセアの和名「馬簾菊」の馬簾というのは、
下のような江戸時代の火消しが持っているシンボル「纏(まとい)」から垂れているものです。
垂れ下がった花弁(はなびら)が馬簾に似ていることから命名されたのでしょう。
一方、睡蓮鉢では引き続き温帯スイレンが開花してきています。
下は小輪の「Pygmaea Helvola(通称:ヘルボラ)」です。
温帯スイレン「Pygmaea Helvola」
前回のガーデンブログでも触れましたが、モネが生きた19世紀フランスで温帯スイレンは発展しました。
このヘルボラは当時「魔術師」と称賛された育種家のB.L.Marliac(マルリアック)の初期の品種で、
野生種同士をかけあわせて作り出しました(ちなみに片親のヒツジグサは日本にも自生しています)。
近年アメリカで育種された「赤黒系」の「Black Princess」も独特の色合いで開花しました。
温帯スイレンという植物は、前述したように19世紀のフランスで発展しました。
しかし20世紀になるとアメリカでの育種がすすみました。
「19世紀はフランスで、20世紀はアメリカ」
まるで温帯スイレンは、世界の覇権のお膝元で発展したようですね。
「園芸が発展するのは平和な時代」とよくいいます。
わが国でも江戸時代はまさに園芸文化が花開いた太平の世でした。
願わくば、これから先は園芸が愛される平和な時代が続きますように。