トロッコ動物病院

アイスバーグが開花しました

私たちの日常の過ごし方が大きく変わってしまったコロナ禍の中だからこそ、
植物達が例年と変わらない春を告げてくれることを、何よりも嬉しく思います。

 

さて今回は、当院に植栽されているバラの中から、
私が敬愛する品種 ‘アイスバーグ’ を紹介したいと思います。

 

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セミダブルの純白の中輪花です

 

バラに詳しい方には「なんだアイスバーグか、普通すぎるじゃん」といわれるかもしれません。

私も15年前にばら栽培を始めた時、アイスバーグは魅力的に映りませんでした。

よく植えられていて・どこでも売られていて・「育てやすい/初心者向け」のアイスバーグのような品種よりも、

豪華で・珍しくて・最新の品種に目が行きましたし、兎に角「多くの品種を育ててみたい」と多い時で100種ほど育てていました。

 

しかしある年、母が病気で倒れ、私や家族はバラの世話どころでは無くなってしまった時期がありました。

肥料もろくに与えず、剪定も適当だったと思います。

バラは手をかけた分だけ返してくれる植物ですから、当然良い花は咲きません。

しかしそんな荒れ果てたガーデンで、ほぼ1年中やさしげに咲き誇っていたのがアイスバーグでした。

 

「困難な状況下でこそ、人の本性が出る」とはよく聞く言葉ですが、

私はこの時の過酷な環境の中で、アイスバーグというバラの真髄をみた思いでした。

 

 

 

ピンクアイスバーグ

当院ドッグラン前広場のボーダー花壇(アイスバーグが4種写っています)

 

さて上の写真は当院ドッグラン前ですが、この写真だけでもアイスバーグが4種写っています。

枝変わり(英語でSportといいます)という、花色や樹形の異なるアイスバーグが合計で6種あるのです。

下にそれぞれ花のアップ写真を撮影して並べてみました。

 

プレゼンテーション1

 

①アイスバーグ(白)

1958年にドイツで作出されました(後述)。

通常アイスバーグといえばこの品種です。

 

②ブラッシングピンクアイスバーグ(白に淡いピンクのかすりが入る)

アイスバーグの枝変わり(突然変異の一種)です。

単に「ピンクアイスバーグ」とも言いますが、下のブリリアントピンクアイスバーグが誤って「ピンクアイスバーグ」という名称で売られていることが多いので注意です。

 

③ブリリアントピンクアイスバーグ(濃淡のピンク)

上のブラッシングピンクアイスバーグの枝変わりです。

 

④バーガンディアイスバーグ(暗赤紅)

上のブリリアントピンクアイスバーグの枝変わりです。

 

⑤ブラッシングアイスバーグ(白に淡いピンクのかすりが入る)

アイスバーグの枝変わりとして2012年に日本の河合伸志によって発表されましたが、私自身が育ててみても②のブラッシングピンクアイスバーグと殆ど区別できません。

 

⑥つるアイスバーグ(白)

つる性品種で、花形はアイスバーグとほぼ同じです。

先日紹介したノイバラと組み合わせて開花させたものが下の写真です。

 

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このような、中輪と小輪の花を組み合わせて競演させるのが私は大好きです。

(つるバラの栽培で有名な故・村田春夫さんも推奨されていましたね)

 

 

さて、純白の名花といわれるアイスバーグですが、その白色遺伝子は「フラウ・カール・ドルシュキ」という120年前の有名な白バラまで遡れます。

 

下にその系譜を少しまとめてみました。

 

フラウ・カール・ドルシュキからアイスバーグ

 

 

またアイスバーグからも、優秀なバラ達が生まれています。

今回はその中から、当院にも2株植栽している「ヘリテージ」を紹介します。

 

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今年のヘリテージ(背後は つるアイスバーグ)

 

このヘリテージはアイスバーグを交配して1984年に作出された、初期のイングリッシュローズですが、

その後「イングリッシュ・ヘリテージ」と改名されたのちに、カタログ落ちして現在では販売されていません。

※イングリッシュローズは、故デビッド・オースティンが作出した一連の品種群(ブランド)です。

 

 

初期のイングリッシュローズ(アーリーイングリッシュローズ)は、現在流通しているものよりもオールドローズの影響を色濃く受けており魅力的です。

さて本当はこのアーリーイングリッシュローズの魅力についてもう少し書きたいのですが、それはまた別の機会に。