ニチニチソウ(日々草)をご存知ですか?学校や公園の花壇でよくみかける植物です。
春から秋まで毎日のようによく咲くためにこの名前がついたそうです。
トロッコ動物病院の花壇にも植わっています。
(開業数日前に、何も植わっていない花壇に気づき、慌ててホームセンターで購入して植え込みました)
良く見かけるこのニチニチソウ、実は私たち獣医師がよく使う抗がん剤である『ビンクリスチン』および『ビンブラスチン』の原料なのです。
ビンクリスチンはリンパ腫などのリンパ増殖性腫瘍に、ビンブラスチンは肥満細胞腫の治療などに使用します。
「ペニシリンはカビから分離された」というのは有名な話ですね。
ドラマ「JIN-仁-」で紹介されていたので見られた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ペニシリンに限らず、私たちが獣医学・医学において利用している物質の多くは自然界から得たものばかりです。
薬というのは、まるで人類の英知によって勝ち取ったもののように描写されることがありますが、決してそんなことはありません。
抗菌薬にしても、ニューキノロン系やサルファ剤など人工合成されたものの方がマイナーです。
自然を守るということは、きれいごとなんかではなく、本当に人類を守ることだと私は考えます。
昨日、私たちが絶滅させてしまった植物は、本当は100年後に我々の子孫が「難病を救う薬」を分離させるはずだった花かもしれません。