桜の季節が終わり、緑が美しい季節になりましたね。
トロッコ動物病院では今年、色とりどりのバラ達が咲き誇ってくれました。
このお庭は、院長先生が毎日丹精込めてお手入れをしています。
様々な病気・思いを抱え来院する動物たち、またご家族の方の心を少しでも和ませる事ができればと思っています。
(お庭の内部は入院犬のお散歩などに利用しています。伝染病予防などの観点から、外から楽しんでいただきますよう、宜しくお願いいたします)
それでは院長先生から直々にバラ達の説明をしてもらいましょう!
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こんにちは、院長の下沢です。
今回のブログは少し寄り道をして、動物ではなく植物についてコメントさせていただきます。
バラには大きく分けて木立性とつる性がありますが、私はつるバラが大好きです。
(ちなみに上の写真の範囲には、5品種のつるバラを植えてあります)
つるバラの特徴は「構造物に合わせて形を仕立てられる」ことです。
そのため、思い描いた風景を作ることができます。
つるバラは基本的に桜と同じように(桜もバラ科ですね!)春の一季咲きですが、
花数が多く、また年1回だからこそ開花が待ち遠しい存在です。
構造物に合わせられるため狭いスペースでも植えられますし、
この点は日本の住宅事情にも合っているという専門家の指摘があります。
花形の美しさばかりがバラの魅力ではありません、想像力と手間を惜しまない姿勢さえあれば、
つるバラは春に素晴らしい感動を与えてくれる植物です。
ルイーズ・オディエは1851年にフランスで作出された、ブルボン系に分類されるオールドローズです。
非常に端正な花形が私は大好きで、昔から栽培し続けている品種です。
剪定することで小さくも仕立てられますが、私はつるバラとしてポールに巻きつけています(誘引といいます)。
ヘンリー・マーチン(アンリ・マルタンと表記されることも)は美しく強いモス系のオールドローズです。
これも1862年にフランスで作出された古い品種ですが、最新品種に負けない魅力的なバラです。
私が名古屋に住んでいた時に頂いた苗を、ここ信州に持ち帰って栽培しています。
(加藤さん、こんなに綺麗に咲きましたよ)
ブルー・フォー・ユーはつるバラではありません。
私がまだ勤務医時代に、バラ苗の生産地である岐阜県大野町に赴き、小さな苗を購入しました。
「いつかこの青いバラを故郷の信州の空の下で咲かせよう」と、
思いを馳せた勤務医時代がよみがえるバラです。
レオナルド・ダ・ビンチは、とても花持ちの良いつるバラです。
犬山動物総合医療センターに勤務させていただいていた頃の社宅を、
社長に無断でこのバラで満開にした思い出があります。
現在はその時の株から接ぎ木で増やした子株たちが、当院の壁面を美しく飾ってくれています。
植物も動物も共通していえることは、「楽をして良い結果は得られない」ということではないでしょうか。
以前、師事した園芸の先生から、「最も重要な肥やしは目肥やしです」と教えていただきました。
つまり、大切なのは消毒薬でも培養土でもなく、絶え間なく観察することによって、
「その植物に今、何が必要か」を見極めることなのです。
動物達の診察にも同じことがいえるのではないでしょうか。
一番大切なのは最新の医療機器や知識を習得することよりも、
よく動物を観察し、また彼らを最もよく知る飼い主さんの話に耳を傾けることなのです。
植物の世話は本当に色々なことを教えてくれるものですね。